日焼けという不条理に立ち向かう

飲む日焼け止めは日焼け止めではない

皮膚に塗布するタイプの日焼け止めを利用している限り、肌荒れのリスクから逃れることはできません。

「飲む日焼け止め」だとか「日焼け止めサプリ」と呼ばれている、身体の内部から日焼けを食い止めることをうたっている日焼け止めは、「日焼けも肌荒れもしたくないが、日焼けは止めたい」と考えている人の間でひそかに注目を集めているようです。

サプリを飲むだけで日焼けを食い止めることができるのであれば、確かに、それに越したことはありません。

もし、飲む日焼け止めによって本当に日焼けが止められるのであれば、日焼けをめぐって繰り広げられてきた長く辛い闘争は、飲む日焼け止めの登場によってついに終止符が打たれることにもなるでしょう。

しかし、現実はそううまくはいかないものです。身も蓋もない結論から言ってしまうと、飲む日焼け止めを飲んだからといって、日焼けを止めることはまずできません。

飲む日焼け止めは健康食品にすぎない

飲む日焼け止めは健康食品にすぎない

飲む日焼け止めは、「体質の改善」にあたる「日焼けをしにくい体質」を作ることに多少は役立つサプリではあるかもしれません。

飲む日焼け止めには、日焼けの原因である紫外線をカットするというような効果はありません。紫外線を取り込んだ肌が、その紫外線をメラニン色素へと生成変化させていくのをおさえるための成分がわずかに含まれているだけです。

飲む日焼け止めに関しては、「日焼け止め」というよりも、日焼けの後遺症であるところのシミ、そばかす、黒ずみといったものに対するささやかな対策にはなりうる「健康食品」という理解をしたほうがいくらか正確なのではないかと思います。

飲む日焼け止めだけではメラニンの生成を食い止められない

飲む日焼け止めを飲んだだけの状態で他に何の日焼け対策も施さずに紫外線をおおいに浴びた場合、肌にとりこまれた紫外線は、飲む日焼け止めによっておさえることが可能なメラニン色素への生成変化の限界を簡単に超えていくことになるでしょう。

飲む日焼け止めにできることは、あくまで「日焼けがしにくい体質」の土台を作ることだけであって、「日焼け」そのものを飲むだけで止めるというような効果を持つわけではないのです。

飲む日焼け止めは毒としても薬としても中途半端

飲む日焼け止めに、「副作用」が出る程度の強い成分が含有されていれば、もしかしたら、日焼けを止めるくらいの効果を発揮することができたのかもしれません。

しかし、飲む日焼け止めは、適切な量の摂取を通して「副作用」のひとつも出ない程度の、希釈されたマルチビタミンのサプリのようなものに過ぎませんから、「毒」にも「薬」にもならないわけです。

「日焼けをしにくい体質」を作るということに多少は役に立つ、と書きましたが、飲む日焼け止めを通して得ることができる各種の成分は、飲む日焼け止め以外のサプリであるとか、それらの成分を含む食品を適量とるほうが効率よく、かつ、多量に摂取できるものであるでしょう。

ですから、「日焼けしにくい体質」を作りたいのであれば、飲む日焼け止めを購入する分のお金で、ビタミンを摂取できる食品や、メラニンの生成変化を防ぐような食品を購入して、それらの食品を用いた料理を使ったほうが確実であるといってよいでしょう。

飲む日焼け止め以外の日焼け止め対策を施したほうがよい

今後、「副作用」なども出るような強烈な効果を持つ飲む日焼け止めが出てきた場合は、多少は日焼け止めとしての効果に見込みがあるかもしれませんが、現在の飲む日焼け止めは、「中途半端な健康食品」にとどまっている、といわざるをえません。

飲む日焼け止めの効果の薄さを踏まえた上で、「いや、それでも自分は飲む日焼け止めを飲み続けて日焼けを乗り越えてみせる」というのであれば、外出の際に、肌の露出を極力おさえる全身黒ずくめの服装を選択して、日傘や帽子なども着用することをおすすめします。そうでもしないとこんがりと焼けてしまうことになるでしょう。